思うがままにつくろう、君のおすもうさんだ。ダンボール紙相撲・上野の森場所のこと。
先日、ファブラボ大分・豊住さんにお声がけいただいて大分市美術館の「ダンボールアート遊園地 大分をあそぼう」のワークショップを担当いたしました。
夏の工作もキットが売っている世の中。立派なものができる、ではなくて手元にあるものを、どう工夫して作り変えるか、というところに比重を置きたいね、と今回のテーマはすぐに決まりました。
というのも、我らオトナはついつい「いいものを作る」がゴールになりがち。ワークショップでは使ったり、改造する楽しみを体験してほしいですよね、という話をしているときに、アイデアはやってきたのです。
「紙相撲とかどうっすかね…!」
そこからは、オトナ二人でああでもないこうでもないと、稽古の始まりです。やはり相撲は一に稽古、二に稽古です。
しかし、試作で作った力士が前にすすみません。
足の角度を直し、いじりすぎて弱った力士の膝をマスキングテープで補強し(「テーピング」と呼んでいました)、作業机には大小様々な力士の山が…。伝統的なスタイルがいいのか、紙の厚さがこのくらいなら…と、稽古という名のブラッシュアップを経て、A3に収まる力士が誕生しました。
力士のほかに、豊住さんはレーザーカッターで切り出した立派な土俵を(しかも、大きな子も小さな子もバトルが平等になるように、土俵を下からバチのような手のパーツで叩く、という方式を生み出す)、たなかは、ローテクな「切り絵」の方法で金の折り紙を切り出した軍配を作り、当日を迎えました。
しかし、オトナ二人が盛り上がれば盛り上がるほど、ふと浮かび上がる、一抹の不安。
「これって我々(1980年代)だけ楽しいんじゃないか…。2010年代の子供は本当に楽しいと思うのだろうか…。」
いや、僕らがこんなにワクワクしているから、きっと楽しいはずだ、と考え直し会場へ。
不安は、ワークショップが始まって、10分もしないうちに吹き飛びました。
なるべくカスタムする時間を増やそう、とプラモのように切り出したパーツを切り離している最中に飛び込んできた質問。
「腕は2本じゃないといけませんか?」
我々は、紙相撲の中に、太い・細い、の2種類の計4本の腕をいれていました。スキな方を使っていいよ、という意味でしたが、当然のように、これは使ってよい部品だ、と、彼は思ったのです。
「いいとも!!」
豊住さんがワークショップのはじめに作り方の説明をしながら、投げかけた最初の言葉、
「じぶんの思うがままにつくろう。君のおすもうさんだ。」
に早速反応してくれているのです。
そこからは、足を増やす子、重心を安定させようと尻尾のようにする子、その様子を見ながらもシンプルが一番と、王道を行く子、色も水玉模様の子、鮮やかな色で塗る子、キャラクターのように線を書き加える子、とたくさんの「俺の・私のおすもうさん」が生まれました。
用意した素材がただのオモチャではなく自分のものになった瞬間でした。
ワークショップの喜びは、方法や約束ごとを伝えて、あとは自分でおもったようにやってみることだと、我ら「紙相撲おじさんズ」が教えられた気がします。
自分で考えて改造する喜びが、少しでも残るといいですね、と話していたら、早速翌日に、家で改造を重ねた力士をもって、美術館に来た子がいたそうです。これはもう、こっそりガッツポーズものでした。
今回、沢山のご応募を頂き、抽選に漏れて参加できなかった方、そして、もっと力士をつくりたい!!というみなさんにお知らせです!
力士と土俵のデータをオープンソースにしていますので、こちらからダウンロードして「マイ・リキシ」をつくってみてくださいね。ちなみに今回使用した土俵は、大分市美術館の「チャイルドハウス」に保管されていますので、夏休み期間中は自由に遊べます。
https://fabble.cc/fablaboita/papersumo
最後に、本イベントのお声がけをいただいた大分市美術館さん、ファブラボ大分の豊住さん、ありがとうございました。
参加してくれたみなさんも、どうもありがとうございました!!
より沢山の写真や当日の様子がわかる、ファブラボ大分・豊住さんのレポートはこちらに!https://www.faboita.org/archives/3872
あと、大分市美術館の「ダンボールアート遊園地 大分をあそぼう」がは2017年9月3日(日)まで開催中です!こちらもどうぞ!
(パラボラ舎 たなかみのる)